島根県大田市にて、島根県産福光石のお墓建立、彫刻の金箔入れ等
倉敷・総社のお墓・石材専門店として、親子3代、お墓や石材に関するお仕事をさせていただております、大森石材店です。島根県大田市にて、島根県産福光石のお墓を建立させていただきました。
島根県大田市 新規建立・金箔入れ 島根県産福光石
島根県大田市にて、追加のお墓の建立をお任せいただきました。倉敷のお世話になっているお寺様とこちらのご住職様とのご縁、私の修行時代の兄弟子がこちらのお寺様にお世話になっていたことなど、ご縁がつながってお世話になっているお客様です。
こちらがご相談のお墓です。ご住職様のお墓です。今回は、印のスヤがある場所に新しいお墓を建てたいとご希望でした。お墓の形としては夫婦墓をご希望で、使用する石については地元の福光石を使用したいというご希望がありました。
こちらは墓地の左側にある五輪塔です。印のように、以前施工した金色の塗料が取れかけています。お客様は、こちらを改めて金箔で入れ直してほしいとご希望でした。
宝篋印塔です。こちらも同様です。今回は全て金箔ではなく、部分的に白色を入れることになりました。
こちらは、今回お墓を建てるのに使用する、福光石の石切場です。世界遺産石見銀山の近くにあって、現在も島根県一の切り出し量を誇る石山だそうです。
迫力のある石肌が見えています。石見銀山の五百羅漢座像などには、この福光石が使われているとのこと。そうした昔の造形物などを復元する際にも使用されますし、お墓の他に建築用の石材としても使用されていて、お風呂の床材など水回りにも使われているそうです。
広々とした採掘現場です。ここは、採掘洞窟のスケールが大きいことでも知られています。大田市の日本遺産構成文化財の第1号でもあるそうです。
今回は、こうして採掘されている地元の石を使ってお墓を建立します。福光石は工場で加工して現場での設置に備えます。
現場では、お墓の下の納骨室の設置が進んでいます。納骨室部分は、御影石で製作しました。奥にお墓本体を設置することになります。
手前の蓋石を取り外すと納骨ができるようになっています。黄色いものは水平器です。細かくチェックしながら工事を進めます。
納骨室の上に、福光石のお墓本体を据え付けていきます。接地面には耐震ボンドを使用して、揺れなどにも強いお墓にします。
納骨室内はこのように仕上げました。「土の上に置きたい」というご希望があったので、きれいな真砂土を敷いて、その上にお骨壺を置きました。
納骨室の蓋石を閉めるとこのような状態です。手前は御影石の蓋石、奥は福光石のお墓なので、少し色合いも違うのが分かります。福光石は、本磨きまで行っても御影石のようなツヤが出ることがほとんどないため、水磨きで仕上げています。御影石と比べると柔らかく加工しやすい石で、年月が経つと表情も違ってきます。
こちらでは、金箔入れの作業の準備を行っています。水蒸気を吹きかける機械で、入れ直す部分の塗料を落としてきれいにします。
下の梵字部分は掃除を終えてきれいにした状態です。一度きれいに塗料を取り除いてから、新たな色や金箔を入れていきます。真ん中の梵字は、黄色いカシューという金箔の下地を塗ったところです。一番上の梵字は金箔を入れ終えました。
工事完了です。
墓地の右手に新しい福光石の夫婦墓を設置、既存のお墓の色や金箔を入れ直しました。もともとあったスヤは場所を移動させています。
福光石のお墓です。ご希望で梵字を入れました。
後方には塔婆立を設置しています。福光石特有の、淡青緑色のやさしい風合いです。
五輪塔、宝篋印塔はこのような仕上がりです。金箔や、場所によっては白色を入れて、細かい文字もはっきりと読み取れるようになりました。
お客様の強いご希望で福光石でお作りしたお墓でしたが、お客様はこれまで先々代のご住職様のお墓でしか福光石に触れていなかったので、新品の福光石は実は初めてご覧になったそうです。やさしい色合いに、「こんなきれいな色の石なんだね」と驚きながらも喜んでくださっていました。
今回は、島根県産の福光石のお墓の建立でした。私どもが普段お仕事をいただく倉敷や総社では見ない石で、島根の修行時代に先輩が扱っていた記憶はあるものの、私自身はあまり扱った経験がないものでした。今回使用してみて、色合いも優しく面白い石だなと感じました。長い歴史のある地元産の石を使用したお墓を作ることで、地域の伝統や歴史に触れることができたお仕事でした。
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