【龍泉寺「龍王の滝」改修工事①】岡山市北区下足守の龍泉寺様にて、石積み工事を行いました

倉敷・総社のお墓・石材専門店として、親子3代、お墓や石材に関するお仕事をさせていただております、大森石材店です。岡山市北区下足守の龍泉寺様にて、「龍王の滝」の改修工事の一環で、第1期工事となる土台の石積み工事をさせていただきました。

岡山市北区下足守 龍泉寺 雑石積み

 

今回ご紹介するのは、岡山市北区下足守にある龍泉寺様での石積み工事のようすです。龍泉寺様では、お寺の中にある「龍王の滝」を改修されることになり、その土台部分の石工事を当社にお任せいただけることになりました。

 

滝の上にあるのが龍神様です。水が噴き出している龍神様部分は明治に建て替えられた時に銅板で作られたもので、構造としては石の土台の上に設置されています。

 

こちらはさきほどの龍神の滝を後方から見たところです。この石垣の上を流れていった水が滝となっているのですが、今回はまず、この石垣部分の積み直しを行います。明治に積まれた石垣は古くなり、このままの状態ではお寺様でメンテナンスされるのも大変ですし、今回新しく作られる龍神様は真鍮製なので重量も以前より増します。メンテナンスのしやすさと強度の面を考慮した石積みをすることになりました。

 

工事にあたって、クレーンなどの機械を入れることが難しく、ご信者様で工事関係のお仕事をされている方に相談すると、このような相場を作ってくださいました。 かなり長い足場です。ありがとうございます。これで小型のクレーンを現場に入れることができるようになりました。

 

先ほどのお滝のお写真で見ると、印の場所が今回石積みを行った場所になります。いよいよ工事開始です。

 

今回の石積みでは、基本的には現地にある石を使って行いましたが、数が少なく足りなかったので、お寺の裏山の方にあった石を一部使いました。もともとの石垣に使われていたのと同じ石です。

 

石垣を、写真右側から組み直していきます。もとの石を加工して準備した場所に、新しく追加する石をクレーンで据えているところです。右側部分は積み終えた石垣です。左側の木の根はどうしても切りたくないとご希望をいただいていたので、強度を保つために大きな石を残しつつ、工夫しながら積んでいきます。

 

石垣の石が不足している状態でしたので、うまく活用できるように一部は石を割って使いました。ドリルで穴を開けて・・・

 

穴に豆矢という小さい矢を打ち込み、ハンマーで叩いて割ったところです。あわせて、石の表面を整える作業も行います。

 

石垣の先に乗っていた題目石をクレーンで吊り上げて、一旦移動させます。今の寸法のままでは通路の幅を確保できないので、下の石を少しコンパクトに加工するためです。

 

石を積み終わり、裏込めの生コンクリートを流し込みます。石積みの裏側をしっかりコンクリートで固めて動かないようにして、強度を高めます。

 

石積みの上に設置する延べ石を加工しています。こちらももともとお寺にあった石を使ったので、高さをあわせるために加工して使用しました。今回は、このような現地加工の連続でした。

 

題目石を設置し直して、工事完了です。題目石の下の水路を、写真の奥から手前に向かって、龍神様のところまで水が流れていきます。

 

一番上が加工した延べ石です。周りの大きな石は、クレーンでも吊り上げられない、割るのも難しいほどの大きな石なので、これも石垣の一部に利用して組んでいます。

 

この形で、ひとまず回収の第1期の工事が完了です。秋に行う予定の2期工事では、水路の整備を行います。

今回は、歴史のあるお寺様での石積み工事でした。現地にあるものを最大限利用するため、ノミやゲンノウ、コヤスケなど、昔ながらの石材加工の道具を使って、現地でその場にあった形に加工するという作業の連続でした。日頃から現地加工を必要とするお仕事も多数いただいてきましたので、メンテナンスや強度面なども考慮しながらご希望通りの工事を行うことができ、お寺様からは、「こういう仕事はできないと断る業者さんもいる中、しっかりやってもらった」と喜んでいただけました。こうした歴史に残るような工事は、一代に一度いただけるどうかという貴重なお仕事です。3代目や若い職人たちにとっても、大いに勉強になりました。このような機会をいただけて大変ありがたく思っております。

秋からの2期工事は、大きなクレーンを2台使用してのさらに大掛かりな工事になります。安全はもちろん確保しながら、さらに気を引き締めて慎重に進めつつ、今までの経験を最大限に活かしてお役に立てるよう精一杯努めたいと思います!